CONFECTIONERY
国産昆虫を“スパイス”として活用した焼菓子「蟲菓(むしか)」
一口に「昆虫」と言っても、コクや旨味、香ばしさ、甘味、苦味、酸味、芳香など、突出する味の特徴は実にさまざま。
灯螂舎では、そんな個性あふれる昆虫を“スパイスの一つ”という形で焼菓子に取り入れています。
何度も試作を繰り返しながら各昆虫の個性と相性の良い素材を探り、原料単体で食べた時よりも美味しさや魅力が引き立つように仕上げた《蟲菓》。
どれも一見しただけでは「虫っぽさ」を全く感じませんが、一口、二口と食べ進めるうちに気が付く味の奥行きや鼻に抜ける香りの中に、虫たちの個性を感じていただけるはずです。
唯一無二の味わいをお楽しみください。
“目で楽しむ”昆虫菓子「象(かたどり)」
上記《蟲菓》シリーズが昆虫由来原料(昆虫本体を含む)を使用していることであるのに対し、《象[かたどり]》シリーズは昆虫の「すがた」をかたどった昆虫不使用(※)の商品ラインとなります。
※一部の昆虫由来原料(昆虫本体ではないもの=蜂蜜, シルクパウダー, 糞茶など)を除きます
「昆虫食に興味があるものの、甲殻類アレルギーのために食べたくても食べられない」という方や「昆虫が好きだからこそ、どうしても食材として見ることができない(昆虫は愛でるだけにとどめたい)」という方にも満足いただけるよう、目で見て楽しい・食べておいしい昆虫モチーフの焼菓子を揃えました。
普段から昆虫食を嗜む人もそうでない人も、ぜひ目で楽しむ蟲菓・《象[かたどり]シリーズ》をお手に取ってみてくださいね。
当店の焼菓子はすべて一つ一つ手作りで製造しているため大量生産は困難ですが、ラインナップは常時変化していきます。
新たな焼菓子との出会いにご期待ください。
焼菓子ラインナップ
焼菓子に使用している主な食用昆虫
群馬県高崎市で米糠を食べて育った養殖ヨーロッパイエコオロギ。別名「ハウスクリケット」とも呼ばれる本種は、干しえびのような甲殻類系の風味と穀物系の香ばしさが共存しています。クセが少なくあっさりとした味わいで、様々な食材に合わせやすい万能選手。焼菓子に加えると、まるでピスタチオのようなコクと香ばしさが際立ちます。
原料形態 粉末
福島県二本松産の養殖フタホシコオロギ。クセの少ないイエコオロギに比べ、本種はパンチの効いたビターな香りと強い旨味が特徴です。好みの分かれる口当たりですが、その分少量でも“コオロギの味”をしっかりと感じられます。特にココアやコーヒーといった風味の強い素材と合わせることで“スパイス”としての真価を発揮する、唯一無二の食材です。
原料形態 粉末
養蚕の地、群馬県で育った蚕。特に蛹化して間もない新鮮なさなぎは蚕特有のクセも少なく、豆のような風味とほのかな甘味を楽しめます。繊細な味わいの“中身”は漉してペーストに、主張の強い外皮はローストし粉末状に加工。いずれも焼菓子の原料であるバターや小麦粉と好相性で、加熱により際立つきな粉のような香ばしさが自然な奥行きを与えてくれます。
原料形態 ペースト(蛹)・粉末(蛹外皮)
国内6県(群馬・埼玉・山梨・静岡・岩手・愛媛)の養蚕農家が育てた蚕の繭(絹糸)を微細な粉末状に加工した純国産の食用シルクフィブロインパウダー。グリシン・アラニン・チロシン・セリンをはじめとしたアミノ酸類を豊富に含みながらも、焼菓子の風味を邪魔することなく自然な奥行きを与えてくれます。
原料形態 粉末(加水分解製法)
新鮮な桑の葉のみを食べて育った蚕幼虫の糞=蚕沙。「糞」という字面のインパクトに警戒心を抱く方も少なくありませんが、蚕の体内で「粉砕・消化」という“発酵”に近いプロセスを経た桑の葉は、その香りと成分がぎゅっと凝縮された状態で排出されます。蚕沙ならではのまろやかで深みのある味わいには、類いない魅力が宿っています。
原料形態 粉末
飼料用昆虫として知られるチャイロコメノゴミムシダマシの幼虫、通称ミールワーム。大分県で小麦のふすまを主食に育った養殖ミールワームは、乾燥・ローストすることでナッツやポップコーンのような香ばしさとほのかな甘みが引き立ちます。脂質を多く含みながらもクセは少なく、焼菓子の風味は大きく変えずにコクを強化したい時に力を発揮します。
原料形態 粉末・姿
食品工場から排出される新鮮なおからと酒粕を食べて育った、神奈川県産のアメリカミズアブ。特に“フェニックスワーム”とも呼ばれる幼虫は良質な脂肪酸(ラウリン酸)を豊富に含み、その風味はココナッツを彷彿とさせます。シナモンなどの香辛料や甘味とも相性が良く、エキゾチックな味わいを表現したいときの“スパイス”として非常に重宝する存在です。
原料形態 粉末
イエバエの幼虫(蛆虫)、通称マゴット 。群馬県高崎産の“おからマゴット”は、私たち人間だけでは消費しきれず日々大量に廃棄されてしまうおからを飼料に、クリーンな環境で養殖されています。加熱処理後に乾燥させることで味や香りが凝縮しており、噛み締めるほどに滲み出すスルメイカのような旨味と、鼻に抜けるふくよかな香りが最大の魅力です。
原料形態 粉末・姿
岐阜県の山間地域で“へぼ”と呼ばれ、「季節のごちそう」として愛されてきた天然クロスズメバチ。手作業で巣から抜き取られたへぼの蛹は、濃厚なコクと甘みを純粋に楽しめるよう滑らかなペーストに。羽化を終えた成虫もじっくりローストすれば、炒り黒豆のように香ばしく、旨味の詰まったパウダーに早変わり。蛹と成虫で異なる魅力を余す事なく楽しめます。
原料形態 粉末(親蜂)・ペースト(蛹)・姿(蛹)
カメムシの仲間であるタイワンタガメの成虫は、体内から洋梨や青りんごを連想させる非常にフルーティーな香りを放ちます。その鮮烈な風味だけを利用するため、当店ではタガメから香り成分を抽出したタガメエキスやタガメ香料を使用しています。ケーキや焼菓子に爽やかな果実香を加えたり、ドリンクなどの香りづけにも最適です。(タイ産)
原料形態 エキス・香料
バラ科の樹木につく蛾の一種、モンクロシャチホコ。とりわけ桜の木に大発生する姿がよく見られるため、幼虫は「サクラケムシ」とも呼ばれます。全身を黄白色の毛で覆われた“いかにも毛虫らしい”見た目に反して害はなく、むしろ特筆すべきは彼らの生み出す「糞」の芳香。桜の葉を分解する際に生じる桜餅のような香りの中には、甘さだけではなくほのかにビターな余韻を感じます。
原料形態 粉末
昆虫は甲殻類と近縁の生き物です。えび・かにアレルギーをお持ちの方は、昆虫を食べることによってアレルギー症状を引き起こす可能性がございますので、不安のある方は喫食をお控えください。(試される際は必ず少量ずつ様子を見ながらお召し上がりください。)
※甲殻類にはアレルギー反応がなくとも、昆虫のみ症状が出る可能性もございます。初めて昆虫を口にする際は、食物アレルギーの有無に関係なく慎重にお召し上がりいただくことをおすすめいたします。