昆虫を食べるメリットとは?

海外に生息しているような規格外サイズの昆虫を除き、世界の昆虫の大半は大人の掌に収まる程度のサイズです。
そのため、調理してしまえば触角から脚の先まで簡単に全身余すことなく食べることができ豊富な栄養素も丸ごと取り入れることが容易という点で、実は食材としてかなり優秀な部類にあるはずです。
(「見た目」という最も大きなハードルを度外視すれば…。)

特にたんぱく質の含有量が顕著で、食用昆虫として近年最もポピュラーなコオロギを例に挙げると、その割合は乾燥重量100g中約60~70gを占めます(生重量比では約20~25g)。さらに必須アミノ酸(BCAA)や必須脂肪酸(オメガ3・オメガ6)、鉄分、亜鉛、カルシウム、ビタミンB2やB12、食物繊維なども豊富に含まれているため、家畜動物の可食部分(食肉)を同量食べた場合と比べても、一度に得られる栄養素の種類や量に大きな違いがあります。

世界の動きを見ても、2013年にはFAO(国際連合食糧農業機関)が昆虫食のメリットを認める論文(食品及び飼料における昆虫類の役割に注目する報告書)を発表したほか、2019年にはEFSA(欧州食品安全機関)がミルワームを安全な食材として正式に認可するなど、昆虫のもつ可能性に注目する人は国単位で広がりを見せていることが窺えます。

…と、ここまで昆虫食の“一般的に謳われているメリット”を述べてきましたが、当店のスタンスは“昆虫食の「普及・推進」を目指す”ものではありません。(店主個人としては「メリットは人それぞれ(昆虫を食べることにメリットを感じる人のみが昆虫を食べればよい)」という考えです。)
納豆が健康に良いからといって「(好き嫌いに関係なく)皆必ず食べるべきだ」とはならないのと同じで、当店の使用する昆虫もあくまで食材の選択肢の一つという立ち位置です。

栄養価・味・食感・香り・物珍しさ等々、昆虫食のどの部分に魅力を感じるかも人それぞれです。「昆虫を食べたい人が食べる自由も、食べたくない人が食べない自由も尊重されるべき」という考えのもとで食用昆虫を取り扱っています。